この本も休憩中に少しずつ読み進めていました。
はじめての森田療法
【著】北西憲二 【レーベル】講談社現代新書 【初版発行日】2016/8/20
森田療法という精神療法に関心を持つ人の為の入門書。
森田療法の原理は「あるがままに生きる」。
あるがままに自分を受け入れる、
あるがままに自分を表現する。
上記のワードに惹かれてこの本に興味を持ちました。
明治~昭和初期を生きた森田正馬が自らの経験を元に編み出した「森田療法」。
森田正馬の生い立ちと当時の治療法。
まずはその紹介から入り、少しずつ本題に入っていく感じ。
当時の入院での治療の内容を読んでいると
森田先生と奥様がカリスマ的存在だったのが大きいだろうなと思った。
『目の前の作業に没頭する事で悩み過ぎないようになり、症状が改善される』
というところが重要だとは思った。
ただし、それは単純作業ではなくある程度頭を使うような作業。
森田療法の治療法も時代とともに変化していっているらしいので
現在は森田療法によりどんな治療が行われているのかも
読み進めていくとわかるようになっていた。
けどその裏には現代の悩みに寄り添おうとする
向上心のある医者(著者)の努力の賜物でもあったって感じ。
1990年代後半から2000年の前半にかけて
伝統的な入院森田療法から対話型の外来森田療法へと転換。
80頁の「人にどう思われるかよりも目の前の仕事(作業)に取り組み、
臨機応変に工夫することを助言します。
そしてだんだん主体的に仕事に入り込んでいけるようになり
そこで初めて人とのスムーズなコミュニケーションが成り立ってくる。
その順が逆になることはありません。」ってところが参考になった。
内容は第二章からが面白いですね。
12のキーワードで森田療法の考え方を解説しています。
「こうあるべき」と自分で自分を縛ると苦しくなる
「できないこと」をしようとすると苦しくなる
128頁の気分本位から事実本位に認識を転換できるよう、
森田療法は援助していくっていうくだりも参考になった。
「気分本位」は自分の気分に左右された生活、行動をおくる事。
「事実本位」は客観的な行動、あるいは成し遂げた事を重視するもの。
心は自分の思い通りに出来ないものだから
そのままに受け入れ、棚に上げて、まずは外相、生活面での行動を整えていけば
心も後から自然に整ってくるという考え方。
これは今の自分に足りない、こういう考え方をしたいと思うものでした。
第三章は患者の症例とどういう治療を行ったのかという内容。
まあ本格的に「囚われ」で苦しくて出口が見えなくなってしまった場合は
外来を受診してお医者さんに診てもらわないと駄目ですね。
自分の考え方に取り入れられそうな事は載っていたけど
全てを本当の意味で理解できたかはわかりません。
(2021/11/3読了)